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恍惚的宇宙論/トランス・レイヴ・コスモロジー
( A Guide To Cosmology )
 ( 2007 )
ジャケット タイトル
(英語タイトル=原題)
発表年 レーベル メディア ネイション
トランス・レイヴ・コスモロジー ( Trance-Rave Cosmology ) 芙苑晶 恍惚的宇宙論/
トランス・レイヴ・コスモロジー
( Trance-Rave Cosmology )
2007 Lavalamp CD Japan
アーティスト

芙苑晶 with トランス・レイヴ・ドーターズ

関連ジャンル

トランス/ダンス・ミュージック
(トランス、テクノ、ハウス、ブレイクビーツ、IDM、ダウンテンポ)

音楽のタイプ

おもにトランスに特化された、クラブ・リミックス・アルバム。しかしヴァリエーションは豊富で飽きさせない。芙苑晶作品の中でもポップな楽曲や人気作品(メロディアスなもの、過去にシングル・カットされたもの、強烈な印象を残すもの等々が主体)を集め、リミックスを施したアルバムである

サウンド トランス(サイケデリック・トランス、プログレッシブ・トランス)が中心。当然ながら、「4ツ打ちキック」にハイハットというパターンが多い。
音的には、 ヴァーチャル・アナログ・シンセ(Access Virus, Nord Lead, JP-8000)を多用したと思われる今風のトランス・サウンドから、懐かしのRoland TB-303, SH-101等の「アシッド」「ブリープ・テクノ」系まで、実にゴージャスで濃密なサウンドが全面に展開。
ゲスト [リミキサー:]
トランス・レイヴ・ドーターズ
ヒプノティック・ツイン
DJ Spiral Groove
スペースDJリョウ
テーマ 2007年、活動20周年を迎えた芙苑晶が、日本のガールズDJデュオ、トランス・レイヴ・ドーターズとのコラボレーションにより仕上げたリミックス/ベスト・ヒット・アルバム。
芙苑晶の過去のソロ・アルバムをはじめ、彼の80-90年代のバンド・プロジェクトである、アメリカの幻覚植物研究所(Psychedelic Plants Research Laboratory)、ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテット等のアルバムより代表曲を網羅した、芙苑晶クラブ・ヒット・コレクション。 トランス音楽の予言者・芙苑晶の最新ベストヒット・アルバムとしても聴ける。
関連項目/文化現象
エピソード

すでに引退しているスペースDJリョウが「友情出演」しゲスト参加しているのも話題となった。

音源/入手可能度 現在も入手可能
現行品CD

日本のAmazon:トランス・レイヴ・コスモロジー

海外のAmazon:Amazon.com (USA): Trance-Rave Cosmology

試聴可能サイト

> CD Baby [ mp3 試聴可能 ]
[アメリカの販売サイトですが、mp3 試聴可能。
 ページ左側のトラック・リストの曲名をクリックすると、再生されます]

関連情報サイト

芙苑晶公式サイト >

『恍惚的宇宙論 / トランス・レイヴ・コスモロジー (Trance-Rave Cosmology)』アルバムガイド が、公式サイトに発表されている。
芙苑晶オリジナル・インタビューでは、それぞれの曲がどのように作曲されたかについてのレビューがあるのが興味深い。又、各アーティストによる曲目解説では、芙苑晶以外に、トランス・レイヴ・ドーターズ他のリミキサー/DJからのコメントもあり、なかなか読みごたえのある内容となっており、ファンなら必読。

トランス・レイヴ・ドーターズ 公式サイト >

こちらのサイトにも、ディスコグラフィのページにコメント/レビューが出ている。また、ロング・インタビューのページもあり。

その他 芙苑晶の初のベスト・ヒット・アルバム。また、芙苑晶のCDとしては史上初の日本先行発売作品となった。
アルバムの日本語サブタイトルにカタカナ(「トランス・レイヴ・コスモロジー」)が付けられた点でも初の作品である。
ディスクレビュー (1) > てんこ盛りにゴージャスな「おいしいアルバム」

芙苑晶の80-90年代の代表曲/クラブ・ヒット・ナンバーを、トランス・レイヴ・ドーターズをはじめとする内外のDJ/ リミキサーたちが最新のクラブ・リミックスに仕上げ、全13曲をノンストップでトランスのコンピレーションCDのようにつないだ、実にエキサイティングかつ楽しいアルバムだ。

芙苑晶・初のベスト・ヒット・アルバムでもあり、芙苑作品の中でもポップな楽曲や人気作品(メロディアスなもの、過去にシングル・カットされたもの、鮮烈な印象を残すもの等々が主体)を集め、リミックスが施されている。
ソロアルバムからは「Cosmology 5」「Ruins 2」「Cathedral 1」「Chronicle 3」、幻覚植物研究所(Psychedelic Plants Research Laboratory)の「Mrs.Cyborg」「Electrode Land」[このアルバムではオーロラ・ヘッズ(Aurora Heads)名義]、さらにファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテット作品では「Ibiza Breakfast」「Kama Sutra Part 4」等々、珠玉の名曲がズラリと並んでいる。これらの原曲が収録されたCDは現在(2007年時点)廃盤のものもいくつかあり、過去の入手困難なアイテムからの代表作も収録されているという点でも、これはファン待望のお買い得CDだろう。

芙苑晶作品のリミックス・アルバムと言えば、過去に『宇宙論入門(A Guide To Cosmology)』(2000)が出ているが、こちらのほうは実験的で過激なリミックスが多かったのに対し、今回は全体的に、比較的オーソドックスな(しかしトランスならではのグルーヴ感溢れる)リミックスが中心である。その点で 芙苑晶の代表作や、古いアルバムの曲を手軽に聴きたいという人に特にお勧めだ。 また、クラブ・ヒッツ・コレクションという点では、一般のクラブ/ダンス・ミュージック・リスナーにもお勧めできる。

そして、トランス・レイヴ・ドーターズとコラボレーションしたことにより、TRDのトランス・サウンドと強烈なグルーヴ感といった今時な要素が逆に、芙苑晶の「楽曲の良さ」「メロディの美しさ」「シンフォニックで壮大なアレンジ」etc. といった「プログレッシブな」要素を鮮やかに際立たせているのは、往年のファンにとっても興味深いところではないだろうか。つまり、それらが逆にシンプルなビートに乗せられていることによって、芙苑晶の音楽世界の豊かさ・深さ、楽曲のクオリティの高さがストレートに伝わってくるようなところがある。一見ミスマッチなコラボがベスト・マッチであることの証明みたいな「過激な名作」と言えそうだ。

片や、ファンならすでに先刻ご承知のように、本来、芙苑晶とは非常に幅広く奥深い世界を持ったアーティストであり、こういう「いわゆるトランス」(ダンスミュージックとしての)だけと思うと大間違いで、オリジナル・アルバムでは又違った壮大な幻想の世界が展開していることを忘れて欲しくはないが、しかしとくに「トランス音楽のパイオニア」としての顔を持つ芙苑晶を知るには、絶好の作品ではないかと思われる。然し又、今の「トランス」というジャンルの中に置いてみると逆に、芙苑晶のワン・アンド・オンリーな強烈な個性が逆に際立っている、という印象がある。

一方、サウンド面では、最新のシンセサイザー(ヴァーチャル・アナログ・シンセサイザー。Access Virus, Nord Lead, JP-8000他)等が使われ、80-90年代のテクノが新しいサウンドで蘇っているほか、曲のツナギも凝っていて、アルバム構成自体もオリジナル・アルバムのようなシッカリしたストーリー展開があるため、「ニューアルバム」的にも聴けるのでオールドファンにもお勧め。又、別の見地から見ると、芙苑晶のアーティストとしての軌跡を辿っていけるような雰囲気もあるという、てんこ盛りにゴージャスなおいしいアルバムである。いずれにせよ、 単にリミックス/ベストヒットアルバムにとどまらない何かを感じさせる、「作品」に仕上がっているという印象である。

又、興味深いのは、ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテットの元メンバー、スペースDJリョウ氏がリミキサーとして参加していることだろう。リョウ氏はすでに10年ほど前に引退されているが、今回は友情出演的な特別参加ということであったらしい。芙苑晶とリョウ氏が再会しセッションしたのは、バンド解散後10年ぶりとのことで、現在「ファー・イースト」ファンの間でもホットな話題となっているようだ。

 
(天野弘樹)
ディスクレビュー (2) > トランス音楽の金字塔

このアルバムがリリースされた前後、Yahoo! Japan のカテゴリ「トランス」に芙苑晶が入っているのを見て、僕の友達がえらく興奮していた。僕も驚きながらも、変に納得してしまった・・・。
そうだ、思えば芙苑晶は、このジャンルの開祖の一人でもあったのだ(欧米のレビュアーによれば、トランスを発明した人だという説もある)。少なくとも、日本人ではほとんど史上初と言っていいだろう。

何しろトランスというジャンルがまだ存在しない80年代半ばからそれ風のスタイルの音楽(彼はそれを当時、「アシッド・ミュージック」と呼んでいた)を創り出していた先駆者である。ついでながら、トランスとリンクした「レイヴ(Rave)」というライヴ形式(野外レイヴ・パーティ)の原型を考え出した天才でもある。後世に影響を与えた部分も大きかったに違いない。

こうしたことから 「トランス音楽の予言者」とも評される芙苑晶だが、意外にも元はクラシック畑出身の作曲家。十代で天才少年として彗星のごとくクラシック界に登場、ヨーロッパでデビューした。のちにサイケデリック・ロックや民族音楽などをも吸収しつつ、現代音楽やミニマルの延長線上にある新しいグローバルな音楽としての「トランス」を発見する・・・という、波乱と紆余曲折に富んだ経歴の持ち主でもある。

「そんなカリスマ・アーティストの往年の名曲・ヒット作品を最新の機材と手法でリミックスするとどうなるか?」といったテーマへの回答がこのアルバムだと言える。また、深読みすれば、「なぜクラシックの天才・芙苑晶がトランスを開発するに至ったのか?」というテーマも見て取れそうだ。
そういったことを加味して考えると、この「トランス・レイヴ・コスモロジー(Trance-Rave Cosmology)」というタイトルが、意味深に思えて来るのは、僕だけだろうか。

さて肝心のレビューだが、選曲・構成ともに、なんともゴージャズで、どこから解説していいか分からないぐらい、実に多様な要素がみっちり詰め込まれた作品である。しかし何よりもまず、さすがに音楽的クオリティの高さは絶品。「シンフォニック・テクノ」等、新ジャンル・新手法の開拓者として「革命児」的な評価が先行してきたきらいのある彼だが、こうやって過去の代表作やクラブ・ヒットを集めて並べてみると、芙苑晶のメロディー・メーカー/作曲家としての才能に、今回あらためて感心してしまった。
どの曲も粒ぞろいで、個別に1曲ずつがトランスのコンピレーション・アルバムに入っても不思議はないぐらいの名曲揃い。今後機会さえあれば、ポップ・チャート入りするヒット曲が続々出てきてもおかしくなさそうなのだ。

実際、クラブでDJが過去にプレイした曲も多く、80-90年代にクラブ通いしたことのある人には、「なるかしい!」と言う人もいるだろう。ソロ名義作品では「Cosmology 5」、「Ruins 2」、ヴォコーダー・フィーチャーの「Mrs. Cyborg」あたりは今の若い世代でも知ってる人もいるかも。「あの時代」のクラブな雰囲気がぷんぷん匂いつつ、最新のサウンドで蘇っているのが面白い。

そこでまずは、「トランス/テクノの名曲が聴きたい」と思って漁っているクラブ系リスナーにお勧めできる。また、芙苑晶に興味を持っているが、音楽はまだ聴いたことがない。そんな人たちに、まずは入門編としてとくにお勧めするのは、芙苑晶の90年代の代表作にして国際的ブレイク作『宇宙論(Cosmology)』(1998)、そしてもう一枚がこのアルバム(トランス・レイヴ・コスモロジー)だ。

選曲は、おもにアップテンポのトランスに特化されているが、その中でさえヴァリエーションは豊かで、サイバートランス、プログレッシブ・トランス、テクノ、サイケデリック・トランス/ゴア等々のスタイルが次々現れ、聴いていて単調さを感じない。
一方、「トランス」ではないタイプの楽曲にも強烈な個性が光るものが目立つ。ダウンテンポ・トリップホップ風の「Chronicle 2」のダンス・リミックス(!)は、オリジナルと極端な違いを見せ、女子十二楽坊またはエニグマのヒット曲のようにすら聴こえる。片や唯一のオリジナル新曲「Japanese Zippie Youth」では、エイフェックス・ツインも顔負けの轟音ブレイクビーツが炸裂。

トランス・レイヴ・ドーターズがメイン・リミキサーだけあって、音はなるほど「今風」だが、パイオニアならではの「深み」と重厚感は、他の追随を許さない。芙苑晶ならではの緻密かつスケールの大きなアレンジによって、内包されるクラシカルな響きは、現代のトランス・ビートと見事に融合し、一見逆説的だが、高度にオリジナルかつスリリングな世界を生み出している。とにかくタイトルのイメージ通り、聴いていて思わず興奮、文字通り恍惚(トランス)状態になってしまうという人が多いのもうなずける。
そしてジャンルレスな空気感を持ったテクノ・ミュージックは、「トランス」が本来「芸術」となりうる可能性を持ったグローバルな音楽であることを充分に示している。その意味で、世代やジャンルを問わずプログレッシブな音楽を求めてやまないファンにも、ぜひ聴いてみて欲しい作品である。

そんなわけで、クラブ・リミックスかとナメてはいけない。間口が広く奥行きが深く、いろんなジャンルのいろんな世代の人に、いろんな評価が出そうな作品、と、おしまいに一言予想しておこう。

 
(musashi) 
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